通院の記録


口角炎 2
   
− 見解の相違!? −
ボクは
一体、何を食べれば
いいのですか?
 

ボクのマッシュ、食べちゃダメ!




気は進まなかったが、病院から帰ったその夜から皮付き餌を与える事にした。


しかし、チェリーに見えないようにして与えるというのは、思ったほど簡単ではなかった。

鳥かごの間にダンボールを挟んで見えなくした上で、ヤッピーに皮付き餌を与えるのだが、それができるのは、夜私が帰宅してから放鳥タイムになるまでのわずかな時間しかなかった。

初めて皮付き餌をカゴの中に入れてやったとき、ヤッピーは「何それ」という顔をした。

全然、嬉しそうじゃない。

戸惑っているようにさえ見えた。初日は、お義理程度に口を付けただけであった。

その後も、与える時間が短いため、ちょっとしか食べなかった。0.5〜1.0g 程度だ。早く外に出してもらいたくて、うずうずしているときだから仕方ない。

積極的に食べさせたい気分にはなれなかったので、まあ、いいかと思う事にした。こんなちょっとじゃ、意味ないかとは思ったが、仕方がない。


ズプリームをやめてしまうのは可哀想だったので、すり鉢で粒を砕いて与える事にした。噛み砕くときに、くっつくのが多いように思えたので、多少なりとも効果を期待した。

そして、1週間の間に、徐々にハリソンマッシュの比率を上げていった。メインの餌入れの場所に移動させると、ますます喜んで食べるようになった。


お薬は、嫌がらずに飲んでくれた。最初は、「何でだよ〜」と、なかなか捕まってくれなかったが、捕まった後は素直に飲んでくれた。


5日もすると、くちばしの周りはすっかりキレイになった。


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それにしても、ペレットのサンプルをもらっておいて大正解であった。これがなかったら、いきなり皮付き餌に戻さなければならないところだった。
思いもよらないところに、リスクはあるものだ。やはり、いろいろなものを食べさせておいた方が良いのだ。


ヤッピーは、初めてメガバクテリアと診断されたときから、これで3人目の獣医さんになる。餌も獣医さんもコロコロ変わって、本当に大変だ。

ヤッピー本人は、おそらく変化を好まない文鳥だろう。毎日、同じものを食べ、同じようなリズムで生活したいはずだ。

しかし、変わらなくてはならないときがあるのだと思う。
すでに、ヤッピーは十分に変わったと思うが、この先も、きっといろいろな事が待ち受けているのであろう。さらに、適応力をつけて、たくましく生きて欲しいと願う。


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2007年3月31日(土) 再診


ヤッピーは、相変わらず逃げ回るが、だいぶ落ち着いたようだ。
体重は 27g 。減ってはいない。

「前よりも格段に良くなりました。もう、ネバネバしてないです。羽毛も生えてきています。」
と言われ、一安心だ。

実は、もう大丈夫と思って5日目以降、消毒をしなかったのだが、この日の朝、また少し粉が付いていた。


フンの検査をして、
「メガバクテリアはいません。良かったですね。」と言われた。



皮付き餌の量を増やすのが難しい事、ズプリームは砕いて与えている事をお話しした。

ズプリームに関しては、粉にしても、ものは同じだから付いてしまう事に変わりはないそうだ。


「マッシュは相当頑張らないと食べられませんが、どうですか?」と聞かれて、

「まあ、食べていると思います。」と答えた。

頑張っているかどうかは分からないが、気に入って食べている事は確かだ。


現在食べている比率(ハリソンマッシュ:ズプリーム:皮付き餌 = 3:2:1)を言うと、

「では、“マッシュ、メイン+皮付き餌を少し”にしてください。マッシュだけで治ってしまうようなら、それでかまいません。あと1週間、投薬と消毒を続けてください。」

との事だ。


次回は、1週間後。



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最後に、どうしても気になっている事を確認した。


前任の獣医さんには、メガバクテリアではない可能性についても、ずっと言われていた。その場合、原因として考えられるのが“皮付き餌に付いているもの”という事であった。万が一、そうであった場合、投薬している今はいいが、治療が終了した後、皮付き餌を与えるのはどうなのだろうか?


「皮付き餌や食べ物に付いているカビは、メガバクテリアとは形態が違うので心配ないでしょう。小鳥の餌は、カビが生えていても分からないので報告が上がらず、問題が表面化しませんけど。なるべく、新しい餌を使う事です。」

先生は、いろいろ例を挙げながら丁寧に説明してくださった。


では、同じ餌を食べている他の鳥が何もないのであれば、餌には疑いがないという事かと尋ねると、

「ある部分、カビの生えたところを突発的に取り込んでしまう可能性はありますけど・・・」
という事だ。


十分納得できた訳ではなかったが、別の獣医さんの見解をお聞きする事ができたという事で、とりあえずは良しとしようと思った。



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2人の獣医さんの、見解の相違をどう受け止めようかと思う。


3箇月もの間、その目で見て言った獣医さんの言葉を軽視する事はできない。


最後の日、「僕ら獣医には、菌を見て大雑把には分かっても、それが何であるか細かいところまでは分からないし、実際、検査に出したところで、それが特定されることは殆どないんです。」ともおっしゃっていた。

医者と学者は違うから、そんなものであろうかと思いつつ、そのお話を伺った。


メガバクテリアであると言い切ってしまえば、話は簡単だったのであろう。最後の日、獣医さんのお話を聞いて、自分では“やっぱりメガバクテリアだった”という感触を持った。

しかし、その獣医さんが最後の最後まで断定しなかった事の重みも感じたのだ。


直感的には、現在診ていただいている獣医さんの判断は正しいと思うが、一方で、“可能性として排除できない以上は疑え”というスタンスは捨ててはならないだろう。



前任の獣医さんが言っていた“酵母”は、変質したものに付くカビに限定されていた訳ではないから、話がずれてしまっていたが、違う話も聞けて良かったのかと思う。用心するに越した事はない。






2007年4月7日(土) 3回目の診察


口角炎だった部分は、殆どキレイになり、注意してみないと分からないくらいにまで回復していた。

ヤッピーは、先生におとなしく捕まったものの、えらくジタバタしている。

「見せてくれないんだよねー。口あけてくれないんだよねー。」
やんわりと言われてしまった。

大好きだった先生に会えなくなったので、ヤッピーにとって病院は楽しい場所ではなくなってしまったらしい。

ヤッピーが飼い主以外の人に心を開いたのは、異例ともいうべき事であったから、本来の状態に戻ったのだと思うしかない。


「キレイになっています。くちばしも乾いています。」

どうやら、これで終わりになりそうだ。


「マッシュは嫌がってませんか?」とまた聞かれた。

「気に入って食べていますが、でも、やっぱりこれだけだとどうかなぁって感じです。」

週の初め、日中はマッシュ、夜の放鳥タイムの前後に皮付き餌、というようにしたのだが、体重が減少気味になって、週の後半はズプリームをほんの少し加えていた。食べているように見えて、こぼしている分が結構あったのだ。


「マッシュは、相当頑張らないと体重が維持できない、そういうものです。でも、ヤッピーちゃん、体重は27gで、減ってはいないですよ。」という事だ。

今後は、マッシュをメインにして、ズプリームや他のペレットも与えても良いか確認した。

「治ってからなら、いいですが、でも、ズプリームはメインにしないでください。」


くちばしの伸び方が、このところ、ひどくなってきたような気がしたので確認すると、要因としては様々あるが、単に噛み合わせが悪いだけの場合もあるし、タンパク質が要因になる場合もあるという。

「あるいは、マッシュが・・・という事もあるかもしれませんけど・・・。」

ペレットの選択は本当に難しい。今後は、試行錯誤でやっていかなければならないという事であろう。


「また、口角炎になってしまったり、くちばしの伸びがひどくなるようでしたら、来てください。」

という事で、口角炎の治療は終了となった。





正解のない宿題を抱え込んでしまったようで、頭が痛い。

こうなってくると、もともとの“皮付き餌:ペレット=3:2”というのが、ベストバランスだったのかもしれないと思えてくる。

“ヤッピーはメガバクテリアだったが、もう完治した”と割り切って、もとに戻すのも手だ。
しかし、チェリーの事を思えば、それも可哀想なのだ。


当面は、ペレットの組み合わせを試してみようと思う。
もとに戻すのは、最後の手段にとっておこうと思う。





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